ナドーワドが障がいのある児童のためのデイサービス事業(現・児童デイあったまぁる)を開始したのは2010(平成22)年です。
制度誕生とともに、さいたま市内で最も早くに児童デイをはじめた事業者のひとつでした。
現在では、8ヵ所の放課後等デイサービス&児童発達支援の運営をおこなっています。

高齢者および障がい者の訪問介護、移動支援、居宅介護支援等をおこなっていたナドーワドですが、何といっても児童デイは先例のない事業、一つひとつの経験を積み重ねていくことは簡単ではありませんでした。悪戦苦闘しながら子どもたちに学び教えられ蓄積された有形無形の知見とそれを受け継ぐスタッフ、これらが私たちの財産であり提供できるサービス品質の源泉です。子どもたちは一人ひとりまったく異なる個性、個別対応が必要です。画一的、効率的な療育は不可能な世界です。あの子、この方への対応は、誰にでもできる“当たり前”ではないのだと痛感し、日々子どもたちから学ぶことを大切にしています。

当初は制度自体がうまく定着するのかすら不確かでした。そしてその制度にも年度を重ねるにつれ規制が加わり、事業者の置かれた環境は厳しさを増しました。スタッフを手厚く配置するほど採算がとれず、廃業する事業所もありました。それでも近年は、新規参入事業者が増加しています。児童福祉環境の整備発展のためには歓迎すべきことです。私たちも、制度に許された範囲で何をどこまでできるのか、まだまだ挑戦と葛藤は続きます。

ナドーワドでは、単独の児童デイ施設だけでなく、全事業所が協力したイベントも実施しています。知的・身体・ろう・盲などの特別支援学校、公立小中学校など、自身の通学校だけではないさまざまなお友だちと接することで、コミュニケーションも豊かになります。

総勢200名を超える参加者で盛り上がる春の音楽祭、自社菜園での作物の収穫体験、春・夏・冬の長期休暇や休日を利用した各種イベントなども定着してきました。最近では英語や算数の学習支援やSST(Social Skills Training)が効果を上げています。それらを可能にするスタッフ経歴も多彩でユニークです。介護・福祉の有資格者はもちろん保育士、英語・数学・社会・音楽の小中高の教員、シェフ、出版社の編集者などなど。サポートしてくれる非常勤スタッフも特別支援教育課程の大学生や発達心理を専攻する大学院生、障がい者就労支援施設経験者、消防士など多様性を大事にしています。

2019年3月現在、300名を超えるお子さまをお預かりしてきました。高校を卒業し巣立っていったお子さまも多数います。3月の音楽祭の壇上で紹介される卒業生を見ると安堵と感激で涙するスタッフもいます。残念ながら卒業を待たずに天に召されたお友達もいるからです。卒業後は学校や児童デイといった小集団ではなく、大きな社会に向き合っていきます。ぜひ、周囲に「愛される存在」でいてほしい、切に願います。微力ながらそのお手伝いができたとしたら私たちもうれしく思います。

これからも地域にやさしく寄り添っていきたいと思います。